「作家の自伝」シリーズは、明治から現代にいたる作家の自伝および自伝的作品による他に例を見ない新しいシリーズです。小説・詩・俳句といったジャンルの枠を取り払い、自伝文学として構成しています。また、収録作品との関連を踏まえた詳細な年譜と、第一線の研究者評論家による解説を附しています。現在のラインナップは全部で110巻です。好きな作家やあなたの出身地の作家から、ぜひ手にとってみてください。
       
巻数
顔写真
書名
作家の
出身地
内容
編・解説
101
尾崎紅葉
東京都
硯友社の沿革/煙霞療養〔抄〕/十千万堂日録〔抄〕/病間記〔抄〕
「硯友社」の総師として同人・門弟の文学活動を支え、舞台作りをした紅葉。その沿革と当時の文芸界の風潮を語る冒頭作品、及び療養の旅紀行、日記、晩年の病床記で構成する。
伊狩章
102
佐藤左千夫
千葉県
井戸/水害雑録/野菊の墓/隣の嫁/春の潮/家庭小言/牛飼の歌/故郷の歌/他
左千夫の芸術は、主情的・情趣的であり、その作品の主体は自己や自己の周辺を扱ったものである。写生文2篇、小説6篇、随想1篇と短歌によりこの歌人・小説家の実像を追う。
永塚功
103
小川未明
新潟県
自伝/上京当時の回想/貧乏線に終始して/童話を作って五十年/麗日/魯鈍な猫/他
児童文学世界の巨樹となった未明の、文学者としての生活・心情・思想を端的に示す随筆5篇と学生時代・中年期の作家時代の各々の生活を背景にした小説2篇を収める。
上笙一郎
104
吉川英治
神奈川県
忘れ残りの記〔抄〕/各々の記〔抄〕/草思堂随筆〔抄〕
大衆とともに生き、おびただしい作品を残した吉川英治。その辛酸をなめつくした少年時代と、常に生き抜く意志を描く自伝的小説「忘れ残りの記」を中心に構成する。
塚越和夫
105
武田麟太郎
大阪府
うどん/若い環境/訪問/近所合壁/浄穢の観念/大凶の籖/子惚気/文学的自叙伝/他
新感覚派の影響下のもとにプロレタリア作家として出発をとげた武田の、文学に対する懐疑、横光利一や片岡鉄兵らとのつながりを書く「文学的自叙伝」ほか全13篇を収録。
浦西和彦
106
田宮虎彦
東京都
本郷
琵琶湖疏水/富士/顔の印象/暗い坂/父という観念/
顔のない自分/神戸の港/他 書くことでの自己浄化への希求の強い作家・田宮の父との不和、亡き妻への思い、幼少年期を過ごした神戸のことなど、I 部には作品5篇、II部には自伝的エッセイ12篇を収録する。
清水均
107
安岡章太郎
高知県
自叙伝旅行〔抄〕/悪い仲間/遁走〔抄〕/海辺の光景〔抄〕/家族団欒図
母のこと、父のこと、親族のこと、安岡家のことなど、家系を軸にした小説・エッセイを息ながく一途に書き継いできた安岡の5篇の作品を収める。
遠丸立
108
立原正秋
韓国
冬のかたみに〔抄〕/猷修館往還〔抄〕/十八年ぶりの同窓会/移ろわぬものと三十年/他
実を虚に、虚を実にと千変万化の創作名技の腕を見せる「冬のかたみに」の他4篇と反逆児正秋の真骨頂をありありと示す「立原正秋略年譜」(自筆)を収録。
武田勝彦
109
有吉佐和子
和歌山県
伝統美への目覚め/父恋い酒/文楽演出後記/爪/舞台再訪 紀ノ川/炭を塗る/他
自伝と銘打つ文章を書かなかった有吉の、現在入手し得る唯一の随筆集。39篇のエッセイを、 I 少女の頃、II 作家の眼、III 小説を書くということ、IV ルポルタージュから、の四部に構成。
宮内淳子
110
中村真一郎
東京都
日本橋
愛と美と文学〔抄〕/私の履歴書〔抄〕/火の山の物語〔抄〕/わが点鬼簿〔抄〕/他
「幾多の大病と、幼児からの度外れの貧、肉親をはじめとする多くの対象との残酷な別離の連続」を送ってきた作家の、出生から七十年の生涯を自伝、自伝的回想により構成する。
小久保實